消火器・簡易消火用具
消火器とは
法令上では「水その他の消火剤を圧力により放射して消火する器具で、人が操作するもの」とされています。
火災の種別
種別 | 記号 | 内容 |
普通火災 | A火災 | 紙、木材、繊維などが燃える火災 |
油火災 | B火災 | 石油類その他の油類などが燃える火災 |
電気火災 | C火災 | 電気設備などの火災 |
消火器の種類
消火器の種類 | 適応火災 | 特徴 |
粉末消火器 (ABC消火器) |
A火災 B火災 C火災 |
窒息効果及び負触媒効果による抑制作用がある。 水系のように浸透力がないので再燃に注意が必要。 蓄圧式と加圧式があるが、現在は蓄圧式が主である。 |
強化液消火器 |
A火災 B火災:霧状 C火災:霧状 |
水による冷却作用によるほか、アルカリ金属塩による負触媒効果で抑制作用と再燃阻止の作用がある。 |
水消火器 |
A火災 C火災 |
燃焼面からの気化熱を奪う冷却作用により消火。 現在は純水に浸潤剤を入れたものが主である。 |
機械泡消火器 |
A火災 B火災 |
被膜による窒息効果と冷却効果により消火する。フッ素系界面活性剤を使用するものは、流動性がよく、可燃性液体の上に広がり燃焼面から空気を遮断して消火する。 |
化学泡消火器 |
A火災 B火災 |
冷却効果のほか、膨張した泡が燃焼面を覆うことによる窒息効果で消化する。 |
二酸化炭素消火器 |
B火災 C火災 |
若干の冷却効果と窒息効果により消化する。 消火剤は窒息性があるので換気について有効な開口部を有しない地階、無窓階又は居室には設置できません。風上から放射します。 |
ハロゲン化物消火器 |
A火災:一定の要件あり B火災 C火災 |
現在、製造していません。 廃棄は製造元に依頼します。 |
酸アルカリ消火器 |
A火災 | 現在、製造していません。 |
設置上の緩和措置
消火器具の設置を必要とする防火対象物に他の消火設備等を設置した場合、消火器の設置を緩和することが出来る場合があります。
設置の制限
二酸化炭素消火器、ハロン1301(プロモトリフルオロメタン)以外のハロゲン化物を放射する消火器(ハロン2402・ハロン1211消火器など)は、消防法施行令第10条第2項1号で
『二酸化炭素又はハロゲン化物(総務省令で定めるものを除く。)を放射する消火器は、別表第一(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに総務省令で定める地階、無窓階その他の場所に設置してはならない。』
と規定され、消防法施行規則第11条において
『令第十条第二項第一号 ただし書の総務省令で定めるハロゲン化物は、ブロモトリフルオロメタンとする』
『ただし書の総務省令で定める地階、無窓階その他の場所は、換気について有効な開口部の面積が床面積の三十分の一以下で、かつ、当該床面積が二十平方メートル以下の地階、無窓階又は居室(建築基準法第二条第四号 に規定する居室をいう。以下同じ。)とする。』
と定められています。
配置
消火器具は階ごとに設置し、各部分からそれぞれの消火器具間での歩行距離が20m以下(大型消火器では30m以下)になる様に配置しなくてはなりません。
また、配置する際は、通行・避難に支障なく、使用に際して容易に持ち出せ、床面からの高さが消火器具の上部が1.5m以下になる場所に設置する必要があります。
なお、当然のことですが設置に際しては、水その他の消火剤が凍結・変質・噴出する恐れがない場所を選定し、振動等による転倒防止措置がとられている必要があります。
簡易消火用具とは
簡易消火用具とは、消火器以外の水バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ひる石または膨張真珠岩をさします。
簡易消火用具の種類
種類 | 内容 | 能力単位 | ||||
水バケツ
|
容量8リットル以上のバケツ 3個分 | 1 | ||||
水槽(バケツ付)
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容量80リットル以上の水槽+ 水バケツ(容量8リットル以上)3個 |
1.5 | ||||
容量190リットル以上の水槽+ 水バケツ(容量8リットル以上)6個 |
2.5 | |||||
乾燥砂 |
50リットル以上の砂+ スコップ | 0.5 | ||||
膨張ひる石(バーミキュライト)
|
160リットル以上+ スコップ | 1 |
簡易消火用具の能力単位とは
簡易消火用具の消火上の能力を数値で表したもので、A火災では水バケツ3杯で能力単位1、B火災ではスコップ2杯の砂で能力単位1単位とします。