<略称:保守協会>

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非常警報設備(非常ベル・放送設備)

非常警報設備(非常ベル・放送設備)

自動火災報知設備の作動に連動、または放送設備の操作部を人が操作することで、建物内に設置されたスピーカを通じて災害の発生およびその状況等を人々に知らせるものであり、多数の者がいる防火対象物等に設置が義務づけられています。収容人数が、50人以上または、地階・無窓階(窓があっても格子等で容易に出入り出来なければ無窓階です)では、放送設備の設置が義務付けられています。

 

非常警報設備(非常ベル・自動式サイレン・放送設備)

 

非常ベル 非常ベル 非常ベルは警報の音響装置としてベルを用います。
自動式サイレン 自動式サイレン 自動式サイレンは、警報の音響装置としてサイレンを用います。非常ベル・サイレンともに起動装置・音響装置・表示等・及び電源(配線)によって構成されます。
非常放送設備操作部 放送設備 (操作部) 非常用放送設備は、スピーカーを利用した音声により建物内の人々に通報・避難誘導を行う設備です。
非常用放送設備は、起動装置・表示等・スピーカー・増幅器・操作装置・電源によって構成されます。
不特定多数の人々が、多く出入りする施設で混乱を招くことなく、避難誘導を行うには警報音のみではなく、音声による誘導も必須であり、ベル・サイレンのいずれかと併用されています。


 

 

防災監視盤

最近の防災センターでは、このように防災設備がまとまっている事も多くなりました。
この設備では、右端に非常放送設備の操作部があります。 非常放送の操作部には常時防火管理関係者がいることが要件となります。 結果、非常放送は防災センターにおかれることが多いのです。
 

 

 

 

 

 

 

非常警報設備(放送設備)の仕組み

非常放送

非常放送の流れ

 

 

 

非常ベル・サイレンの設置基準

起動装置

起動装置とは、火災が発生した際、手動操作により音響装置を鳴動させる装置です

  1. 設置位置
    • 操作上支障となる障害物がない箇所
    • 原則として階段への出入口
    • 階段相互の距離が歩行距離50m以下の場合、上下の階が異なる位置
    • 歩行距離50mを超える場合は、各階の階段付近ごと
  2. 機器
    • 雨水または腐食性ガス等の影響を受ける恐れのある場所に設置する機器は、適当な防護措置を講じたもの
    • 手動により復旧しない限り正常に作動が継続できるもの

音響装置

音響装置とは、火災信号を受信し、自動的に火災である旨の警報ベル・サイレン等の音響を、必要な音量で報知する装置です。

  1. 設置位置
    • 音響効果を妨げる効果のない場所
    • 天井
    • 音量及び音色が他設備の音響または騒音と明確に判別できるようにする
    • 屋上部分を遊技場・ビアガーデン等の目的で使用する場合、当該用途の使用箇所に音響装置を設ける。
    • カラオケボックス等を有する建物は当該カラオケボックス等の内側にベルを増設する
      ※当該カラオケボックス等に非常放送設備と連動して音響装置の電源を遮断する等、有効な措置を講じた場合はこの限りではない

表示灯

表示灯とは、起動装置の所在を明示するために設けられる赤色の灯火

  1. 設置位置
    • 通行に支障がなく、多数の目にふれる
  2. 機器
    • 雨水または腐食性ガス等の影響を受ける恐れのある場所に設置する機器は、適当な防護措置を講じたもの

非常電源(配線含む)

  1. 地階を除く階数が5以上で延べ面積が3000㎡を超える建物では、火災の際、1箇所の報知区域が短絡・断線しても他の区域への報知支障がないようにする

非常放送設備の設置基準

非常放送設備は、起動装置、表示等、スピーカー、増幅器等、電源(配線含む)で構成されます。

増幅器等

増幅器等とは起動装置・自動火災報知設備・スプリンクラー設備から火災信号を受信し、音声警報及び非常用マイクの音声信号により火災放送を有効な音量で必要な階に行う増幅器及び操作部を指します。

  • 設置場所
    • 防災センター等常時人のいる場所
    • 増幅器等は受信機等と併設
      ※自動火災報知設備がない又は受信機と連動した場合で増幅器等に出火階表示灯を有するものを設けた場合はこの限りではない
    • 避難階・直上階・直下階の避難上有効な出入口付近の場所
    • 増幅器と操作部を分離して設置する分割型増幅器等の増幅器及び操作部は防災センター等常時人のいる場所、かつ、同一室内
  • 機器
    • 増設・工事変更等が予想される場合は余裕回線を残す。
    • 非常放送設備以外の放送設備が独立して設置されている場合、非常放送設備の起動と連動して放送が遮断でき ること
    • 自動火災報知設備と連動するものは、
      ① 感知器等の作動と連動して自動的に増幅器等の電源が入り、放送が可能な状態になる
      ② 音響装置を付加した放送設備にあっては、自動的に当該装置を鳴動させることができる
      ③ 感知器等の作動と連動して、出火階が2階以上の場合にあっては出火階及びその直上階、出火階が  1階の場合にあっては出火階とその直上階及び地階、出火階が地階の場合にあっては出火階とその  直上階及びその他の地階全部に限って、それぞれ放送できる
      設備であること。
    • 自動火災報知設備と連動しないものは操作部のスイッチの操作により、
      ①一斉作動スイッチを操作することにより全館に放送できる
      ②放送階選択スイッチを操作することにより、当該スイッチに連動する任意な報知区域への放送ができる
      設備であること
  • 表示
      • 操作部には報知区域一覧図を備え、放送階選択スイッチの部分には報知区域の名称等を適正に記入すること

放送区域

放送区域とは、防火対象物の2以上の階にわたらず、かつ、床、壁又は戸(障子、ふすま等遮音性能の著しく低いものを除く。)で区画された部分をさします。

  1. 間仕切壁
    • 音の伝達に十分な開口部があるものを除き、固定式・移動式を問わず壁として扱う
    • 通常開口している移動式の壁・戸であっても閉鎖して使用する可能性のあるものは壁又は戸で区画されたものとして取り扱う。
    • 障子、ふすま等遮音性の著しく低いものには、障子、ふすまのほか、カーテン(アコーディオンカーテンを除く。)、つい立て、すだれ、格子戸又はこれらに類するものが該当する
  2. 放送区域
    • 劇場客席のうち吹き抜けを有する部分は当該吹き抜けに接する部分を一の報知区域とする
    • 特別避難階段又は屋内避難階段は居室等の部分と別報知区域とし、高さ45m以下ごとに一の報知区域とする。また、地階部分と地上階部分とは、地階の階数が一である場合を除き、別報知区域とする。
  3. スピーカー
    • 放送区域毎に、当該放送区域の各部分から一のスピーカーまでの水平距離が10m以下となるように設けること。
    • 隣接する一定の小規模放送区域はスピーカーの設置を要しない。
      居室及び居室から地上に通じる主たる廊下、その他の通路にあっては6㎡以下、その他の部分にあっては30㎡以下の放送区域において、当該放送区域の各部分から隣接する他の放送区域に設置されたスピーカーまでの水平距離が8m以下となるように設けられているときは、スピーカーを設けないことができること。(以下、「小規模放送区域」という。)
      ※スピーカーの設置を免除できる部分をカバーするのに、隣接する放送区域の1のスピーカーでなく、2以上の隣接する放送区域の2以上のスピーカーによることでも差し支 えない。
    • 放送区域の広さに応じて3種類(L級・M級・S級)に区分されたスピーカーを設置する。
      種類 音圧の大きさ 放送区域
      L級 92db以上
      • 100㎡を超える放送区域
      • 50㎡を超え100㎡以下の放送区域
      • 50㎡以下の放送区域
      • 階段又は傾斜路
      M級 87db以上92db未満
      • 50㎡を超え100㎡以下の放送区域
      • 50㎡以下の放送区域
      S級 84db以上87db未満
      • 50㎡以下の放送区域
      1. 放送区域の広さに応じてスピーカーを選ぶとき、該当放送区域のスピーカーが受け持つ区域に小規模放送区域があり、スピーカーの設置をしない場合は、スピーカーが受け持つ放送区域の合計面積を算定したうえで、該当面積に対応する種類のスピーカーを設置すること。
      2. 階段又は傾斜路にスピーカーを設置する場合、垂直距離15mにつきL級のものを1個以上設ける。
      3. カラオケボックス、カラオケルーム等の遮音性の高い居室にあっては、当該部屋部分を一の放送区域として取扱い、スピーカーを設けること。